墓じまいの業者は、何を頼むか(墓石の撤去工事か、改葬許可の申請書の作成か)で選ぶ相手が変わります。この記事では、業者の種類と、霊園やお寺が工事の石材店を決めているか(指定石材店)の確かめ方、契約の前に見積書で確かめることをまとめます。
私は大手葬儀会社のWeb事業部に3年在籍し、月数千万円超の広告運用・年間2,000件以上の葬儀集客・月間1,000万PVを超えるコンテンツ制作に関わりました。業界の構造を知る立場から、この記事を書いています。
この記事を読むと、次の3点がわかります。
- 頼む相手の種類と、頼めることの違い
- 霊園やお寺が工事の石材店を決めている場合(指定石材店)の確かめ方
- 契約の前に確かめる5つのこと
墓じまいで頼む相手の3種類と、頼めることの違い
墓じまいで頼む相手は、主に次の3つです。頼めることがそれぞれ違うため、「どれに頼むか」を決める前に、何を頼みたいのか(墓石の撤去工事か、改葬許可の申請書の作成か)を決めておきましょう。
| 頼む相手 | 頼めること | 確かめること |
|---|---|---|
| 石材店 | 墓石の撤去工事 | 霊園やお寺に指定の石材店があるか。見積書の内訳 |
| 墓じまい代行業者 | 撤去工事の手配など(業者によって違う) | 「代行」に何が含まれるのか(撤去工事か、申請書を誰が作るのか、お寺に伝えるところまでか)を見積もりのときに確かめる |
| 行政書士 | 改葬許可の申請書の作成 | 墓石の撤去工事は、別に石材店に頼む |
改葬許可の申請には、今のお墓の管理者が作る、埋蔵(収蔵)の事実を証明する書面などを付けます(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条)。改葬許可の申請は、お墓の使用者が自分でできます。行政書士でない業者は、どのような名目でも報酬を得て申請書を作れません(行政書士法 第19条)。申請書の作成を人に頼むなら、行政書士に頼みます。墓じまい代行業者に頼むときは、申請書を誰が作るのかを、見積もりのときに確かめてください。
霊園やお寺が工事の石材店を決めている場合(指定石材店)
墓地によっては、墓石の工事をする石材店が決まっていることがあります(指定石材店)。墓石の一括見積もりサイトの墓石ナビ(株式会社サフタ)は、お墓を建てるときの業者選びの説明で、民営墓地や寺院の場合は指定された墓石業者以外の施工を認めないケースがあり、公営墓地の場合は墓石業者の指定はない、としています。(出典:墓石ナビ(株式会社サフタ)トップページの「墓石業者の選定」)
指定があると、見積もりを比べられない
指定の石材店がある墓地では、ほかの石材店に工事を頼めないため、複数の見積もりを比べられません。墓石の一括見積もりサイトも、こうした墓地を受け付けていないことがあります。墓石ナビと同じグループの墓石相場net(株式会社マッチングジャパン)の見積もりのフォームには「※民営霊園など指定業者のある墓地はお受けできません」とあり、墓石ナビも「墓所が民営霊園の方」の利用は遠慮してもらっていると書いています。(出典:墓石ナビ(株式会社サフタ)「ご利用の流れ」、墓石相場net(株式会社マッチングジャパン)見積もりのフォーム)
一括見積もりサイトの運営会社や申し込みの条件は、「墓石ナビ・墓石相場netの評判・口コミを調べる前に」でまとめています。
業者を探す前に、墓地の決まりを確かめる
業者を探す前に、霊園の管理事務所やお寺に、墓石の撤去工事を頼める石材店に決まりがあるかを聞きましょう。指定がなければ、自分で探した石材店や、一括見積もりサイトで紹介された石材店から、複数の見積もりを取って比べられます。
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墓石の撤去工事の費用を、比べてから決めたい方へ
墓石ナビは、同社の審査を通った石材店から無料で一括見積もりを取れるサービスです。同社のサイトでは、墓じまい(墓石の撤去)を頼むときも、複数の石材店の見積もりを比べるよう案内しています。同社のサイトには、民営霊園のお墓は受け付けていないとも書かれているため、墓地の種類(公営・民営・お寺の墓地)と、霊園やお寺に指定の石材店があるかを、先に確かめてください。
指定の石材店がある場合
指定の石材店がある場合は、その石材店に見積書の内訳(どの工事がいくらか、追加の費用がかかる条件)を出してもらい、わからない項目は契約の前に質問しましょう。見積書で確かめる項目は「お墓・墓石の見積もり比較」でまとめています。
契約の前に確かめる5つのこと
業者に頼む前に、次の5つを確かめておきましょう。
見積もりの内訳が項目別に明示されているか
撤去工事の見積書で確かめる7つの項目と、公営霊園の原状回復の範囲は、「墓じまいの見積もり」で解説しています。
「一式〇〇円」とだけ書かれた見積もりは、何が含まれるのかを確かめましょう。業界団体の一般社団法人日本石材産業協会は、墓石の販売と工事についての指針「墓石工事契約等ガイドライン」で、順守を誓約して登録した墓石店(登録店)に向けて、商品などを「一式」「プラン」「セット」で提供するときは含まれるものの内容を明記し、含まれないものは別途費用が発生する旨を記載すること、見積り以外の追加費用が発生する場合について説明することなどを定めています。墓石の撤去、撤去した墓石の処分など、どの作業がいくらかを聞いておきましょう。(出典:日本石材産業協会「墓石工事契約等ガイドライン」)
工事の前と後の写真を残してもらえるか
工事の前と後の写真を残してもらえるかを、契約の前に聞いておきましょう。写真をもらえれば、遠方のお墓でも、撤去した後の区画の状態を確かめられます。
撤去した墓石の処分の方法と費用
撤去した墓石やコンクリートなどをどう処分するかと、その費用が見積書に書かれているかを確かめましょう。書かれていなければ、契約の前に質問しましょう。
工事中の事故への備え
工事中に隣のお墓などを傷つけたときにどう対応するかと、業者が保険に入っているかを、契約の前に聞いておきましょう。
担当者が現地を見てから見積もりを出すか
現地を見ずに出す見積もりは概算です。契約の前に、現地を見たうえでの見積もりを出してもらいましょう。
業者に連絡する前に準備すること
業者に連絡する前に、次の5つを準備しておくと、最初のやり取りが進めやすくなります。
- 家族・親族で話し合っておく
- お墓の場所(住所・霊園名・区画番号)を確かめておく
- 区画の広さ(縦×横)を確かめておく
- 移し先(遺骨をどこに移すか)をある程度決めておく
- 移し先が決まっていれば、改葬許可の申請に付ける書類(移し先の受入れの証明など)を、今のお墓がある市区町村の案内で確かめておく
墓石ナビ(株式会社サフタ)は、墓所の情報(所在地や区画面積)などがわかるものや、今の墓所の状態を前もって把握しておくと、見積もりのときにより正確な金額が出やすくなるとしています。最初の見積もりは伝えた情報をもとにした概算で、詳しい見積もりの段階で石材店が現地を確かめることがある、とも案内しています。(出典:墓石ナビ(株式会社サフタ)「よくあるご質問」)
よくある質問
Q1. 業者に一度連絡したら断れない雰囲気になりませんか?
見積もりを頼んだだけなら、契約する義務はありません。墓石ナビ(株式会社サフタ)は契約の義務はないとし、同じグループの墓石相場net(株式会社マッチングジャパン)は、気に入った見積もりがなければ石材店への断りを代わりに伝えるとしています。ただし、契約は書面が無くても、申込みと承諾が合えば成り立ちます(民法 第522条)。決めるまでは「検討してから返事をします」と伝え、その場で返事をしないようにしましょう。(出典:民法 第522条、墓石ナビ(株式会社サフタ)見積もりのページ、墓石相場net(株式会社マッチングジャパン)トップページ)
Q2. 一括見積もりサービスと直接依頼はどちらが安いですか?
どちらが安いかは、墓地の場所や工事の内容で変わり、一概には言えません。一括見積もりサイトは、複数の石材店の見積もりを一度に集められる仕組みです。ただし、上の「霊園やお寺が工事の石材店を決めている場合」の節のとおり、一括見積もりサイトは民営霊園など指定の石材店がある墓地を受け付けていないことがあります。指定の石材店がない墓地なら、一括見積もりで届いた見積もりと、地元の石材店に直接頼んだ見積もりを、同じ条件で並べて比べましょう。
Q3. 業者に頼まず自分でできますか?
墓石の撤去工事は、石材店などに頼みます。改葬許可の申請は自分でできます。手数料は無料と案内している市もあります(町田市・船橋市・長野市・箕面市など)。閉眼供養は法律で決められた手続きではありませんが、総務省 東北管区行政評価局の資料の改葬手続の例には「宗教や宗派により、閉眼供養や開眼供養などの儀式が必要となる場合あり」とあります。お寺の墓地では、お寺に相談しましょう。(出典:総務省 東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果」、町田市、船橋市、長野市、箕面市の改葬許可の案内)
Q4. 見積もり後にキャンセルはできますか?
見積もりが無料かどうかは業者によって違うため、頼む前に確かめましょう(墓石ナビと墓石相場netは、見積もりは無料としています)。取りやめるときの条件(違約金など)を、サインの前に契約書で確かめてください。急いで決めるよう求められても、その場で決める必要はありません。契約や工事でもめたときは、消費者ホットライン(188)に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。(出典:消費者庁「消費者ホットライン」)
まとめ
この記事で解説した内容を整理します。
- 業者には「石材店・代行業者・行政書士」の3種類がある。墓石の撤去工事は石材店などの業者、改葬許可の申請書の作成は行政書士(自分でも申請できる)。代行業者に頼むときは「代行」に何が含まれるのかを確かめる
- 霊園やお寺に、工事を頼める石材店に決まり(指定石材店)があるかを先に確かめる。指定がなければ、複数の見積もりを比べる
- 指定の石材店がなければ、内訳が項目別に書かれた見積もりを複数並べて比べる。「一式〇〇円」だけの見積もりは中身を確かめる
- 撤去した墓石の処分の方法と費用、工事中の事故への備えを、契約の前に確かめる
- 現地を見ずに出す見積もりは概算。契約の前に、現地を見たうえでの見積もりを出してもらう
業者選びでは、まず墓地の決まりを確かめ、指定の石材店がなければ、複数の見積もりを内訳まで並べて比べてから決めましょう。
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墓石の撤去工事の費用を、比べてから決めたい方へ
墓石ナビは、同社の審査を通った石材店から無料で一括見積もりを取れるサービスです。同社のサイトでは、墓じまい(墓石の撤去)を頼むときも、複数の石材店の見積もりを比べるよう案内しています。同社のサイトには、民営霊園のお墓は受け付けていないとも書かれているため、墓地の種類(公営・民営・お寺の墓地)と、霊園やお寺に指定の石材店があるかを、先に確かめてください。


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