離檀届(りだんとどけ)は、檀家をやめる意思を菩提寺に書面で伝えるものです。法律で決まった書式はないため、何をどう書けばよいか迷う方が多い書類でもあります。この記事では、そのまま使える離檀届の文例3パターンと、書き方・出し方のマナー、出した後の手続きまでを順に解説します。
住職へ最初に相談するときの挨拶の手紙は「離檀の挨拶文例5選」で紹介しています。この記事は、住職と話がついた後に渡す「届」の書き方に絞っています。届を出した後に続く墓石の撤去工事の費用の目安は、「墓じまいの費用相場」でまとめています。
離檀届とは|法律で決まった書式はない
離檀届は、檀家を離れることを菩提寺に書面で伝えるものです。寺と檀家の関係は法律ではなく慣習と信頼で成り立っているため、離檀届に法律上の提出義務や決まった書式はありません。寺によっては独自の用紙を用意している場合があり、そのときは寺の用紙に従います。
一方、墓じまい(改葬)で法律上必要になるのは、市区町村に出す「改葬許可申請書」です。この申請書には、墓地の管理者が作成した「埋葬(埋蔵)の事実を証する書面」を添付することが定められています(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条)。寺院墓地では、この書面(一般に埋葬証明書・埋蔵証明書と呼ばれます)を寺に作ってもらう必要があるため、離檀届はその発行をお願いする場面とセットになるのが一般的です。
挨拶の手紙と離檀届の違い
| 挨拶の手紙 | 離檀届 | |
|---|---|---|
| 目的 | 離檀を相談し、これまでの感謝を伝える | 離檀の意思と、お願いしたい手続きを記録に残す |
| 出す時期 | 最初に相談するとき | 住職と話し、方針が決まった後 |
| 書き方 | 丁寧な手紙文 | 要点を簡潔に(日付・墓所・依頼事項を明記) |
いきなり離檀届だけを送ると、住職には一方的な通告と受け取られやすくなります。まず電話や訪問、挨拶の手紙で相談し、話がまとまった段階で離檀届を渡す順番にすると、その後の手続きが進めやすくなります。
離檀届に書く7つの項目
- 日付(渡す日、または投函する日)
- 宛名(〇〇寺 ご住職 〇〇〇〇様)
- 差出人(墓地の使用者、または檀家の代表者の住所・氏名・連絡先)
- 離檀の意思(「檀家を離れることといたしました」)
- 墓所の情報(区画番号・墓石の名義)と、改葬先・改葬の予定時期
- お願いしたい手続き(埋葬証明書の発行、閉眼供養の日程、墓所の返還の段取り)
- これまでのお礼
離檀の理由は詳しく書く必要はありません。「家族の事情により」「お墓の継承者がいないため」程度で十分です。離檀料やお布施の金額は書面には書かず、住職との話し合いで決めます。
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離檀のあとの、墓石の撤去の費用を先に知っておきたい方へ
離檀の話がまとまると、墓石を撤去して区画を返すための工事が必要になります。お寺に指定の石材店があるかを先に確かめ、指定がなければ、複数の見積もりを比べてから決めると安心です。墓石ナビなら、同社の審査を通った石材店から無料で一括見積もりを取れます(民営霊園のお墓は受け付けていないと公式サイトに書かれています)。
そのまま使える離檀届の文例3パターン
〇〇の部分をご自身の状況に置き換えてお使いください。
文例1:基本の離檀届(住職と話した後に手渡す)
離檀届
〇〇寺 ご住職 〇〇〇〇様
拝啓 〇〇の候、ご住職様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
永年にわたり、〇〇家の先祖代々のご供養を賜りまして、心より御礼申し上げます。先日ご相談申し上げましたとおり、家族の事情により、このたび〇〇家の墓所を改葬し、貴寺の檀家を離れさせていただくことといたしました。
つきましては、改葬の手続きに必要な埋葬証明書(埋蔵証明書)のご発行と、閉眼供養のお勤めをお願い申し上げたく存じます。日程はご住職様のご都合に合わせさせていただきます。
これまでのご厚情に深く感謝申し上げますとともに、貴寺のますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具記
一、墓所 〇〇寺墓地 〇区〇番(〇〇家之墓)
一、改葬先 〇〇霊園(〇〇県〇〇市)
一、改葬の予定時期 令和〇年〇月ごろ
以上令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇
氏名 〇〇 〇〇
電話 〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
文例2:遠方で訪問できない場合(郵送で出す)
離檀届
〇〇寺 ご住職 〇〇〇〇様
拝啓 〇〇の候、ご住職様にはお健やかにお過ごしのことと拝察いたします。
永年にわたり〇〇家の墓所をお守りいただき、誠にありがとうございました。先日お電話でお伝えいたしましたとおり、私どもは遠方に住んでおり、今後お墓をお守りしていくことが難しいため、〇〇家の墓所を改葬し、貴寺の檀家を離れさせていただくことといたしました。本来であれば直接お伺いしてお願いすべきところ、書面でのお願いとなりますことをお許しください。
つきましては、改葬の手続きに必要な埋葬証明書(埋蔵証明書)のご発行をお願い申し上げます。お手数ではございますが、同封の返信用封筒にてお送りいただけますと幸いです。閉眼供養の日程につきましては、改めてお電話にてご相談させていただきます。
末筆ながら、貴寺のますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具記
一、墓所 〇〇寺墓地 〇区〇番(〇〇家之墓)
一、埋葬されている方 〇〇〇〇(父・令和〇年〇月〇日没)ほか〇名
一、改葬先 〇〇霊園(〇〇県〇〇市)
以上令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇
氏名 〇〇 〇〇
電話 〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
郵送する場合は、届いたことが記録に残る簡易書留などで送り、返信用封筒(切手を貼ったもの)を同封すると丁寧です。
文例3:記入式の離檀届(寺に決まった用紙がないとき)
手紙文ではなく、必要事項を表にまとめた形でも問題ありません。印刷して手書きで記入する場合は、次の項目を並べます。
| 届出日 | 令和〇年〇月〇日 |
| 宛先 | 〇〇寺 ご住職 〇〇〇〇様 |
| 届出人(墓地の使用者) | 住所・氏名・電話番号 |
| 墓所の場所 | 〇〇寺墓地 〇区〇番(〇〇家之墓) |
| 埋葬されている方 | 氏名・亡くなった年月日(複数の場合はすべて) |
| 離檀の理由 | 家族の事情により(詳しく書く必要はありません) |
| 改葬先 | 〇〇霊園(〇〇県〇〇市) |
| お願いする手続き | 埋葬証明書の発行/閉眼供養/墓所の返還 |
| 署名 | 届出人の自署 |
表の後に「永年にわたり先祖の供養を賜り、心より御礼申し上げます」とひと言添えると、事務的になりすぎず丁寧な印象になります。
話し合いが進まない場合(内容証明で送る)
住職と連絡がつかない、埋葬証明書を出してもらえないなど、話し合いが進まないときは、内容証明郵便で送る方法があります。内容証明郵便は、いつ・どんな内容の文書を送ったかを日本郵便が証明するサービスです。文面には感情や経緯を書かず、事実と依頼だけを簡潔に書きます。
通知書
私は、貴寺墓地〇区〇番の墓所の使用者として、同墓所に埋蔵されている遺骨を改葬し、貴寺の檀家を離れることといたしました。
つきましては、改葬許可の申請に必要な埋蔵の事実を証する書面を、令和〇年〇月〇日までにご発行くださいますようお願い申し上げます。令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇
氏名 〇〇 〇〇
〇〇寺 代表役員 〇〇〇〇様
- 窓口で出す場合は、内容文書1通・謄本2通と、相手の住所氏名を書いた封筒を用意します。内容証明を扱うのは集配郵便局などの一部の局です。
- 料金は、郵便料金と一般書留の料金に、内容証明の加算料金(1枚目480円、2枚目以降は1枚ごとに290円)がかかります。
- 文書の字数・行数には決まりがあります。インターネットで24時間受け付けている「e内容証明」を使うと、書式を合わせやすくなります。
それでも寺が証明書を出さない場合でも、手続きが止まるとは限りません。法令では、墓地の管理者の証明が得られない特別な事情があるときは、市区町村長が必要と認める「これに準ずる書面」で代えられるとされています(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条第2項)。改葬先の市区町村ではなく、今お墓がある市区町村の窓口に相談してください。具体的な進め方は「離檀を拒否されたときの対処法」で詳しく解説しています。
離檀届を出した後は、墓石の撤去の見積もりを比べる
離檀が決まると、次は墓石を撤去して墓所を更地に戻し、寺に返還します。寺院墓地では寺が指定する石材店がある場合もあるため、まず住職に確認してください。指定がなければ、撤去の費用は業者によって差が出るため、複数の石材店から見積もりを取って比べるのが安心です。費用の目安は「墓じまいの費用」で解説しています。
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墓石の撤去工事の費用を、比べてから決めたい方へ
墓石ナビは、同社の審査を通った石材店から無料で一括見積もりを取れるサービスです。同社のサイトでは、墓じまい(墓石の撤去)を頼むときも、複数の石材店の見積もりを比べるよう案内しています。同社のサイトには、民営霊園のお墓は受け付けていないとも書かれているため、墓地の種類(公営・民営・お寺の墓地)と、霊園やお寺に指定の石材店があるかを、先に確かめてください。
離檀届の書き方のマナー
- 白無地の便箋に、黒のペンか万年筆で書くのが一般的です。パソコンで作っても構いませんが、署名だけは手書きにすると丁寧です。
- 封筒は白無地を使い、表に「〇〇寺 ご住職 〇〇〇〇様」、裏に差出人の住所・氏名を書きます。
- 住職と話す前に送りつけず、電話や訪問で相談してから渡します。
- 渡した日付と内容が分かるよう、コピーを手元に残しておきます。
離檀届を出すタイミングと、墓じまい全体の流れ
離檀届は、改葬先が決まり、住職と話をした後に出すのが一般的です。墓じまい全体の中では、次の位置にあたります。
- 家族・親族で話し合い、墓じまいに合意する
- 改葬先(永代供養墓・納骨堂・新しいお墓など)を決め、受入証明書をもらう
- 住職に相談する(訪問・電話・挨拶の手紙)
- 離檀届を渡し、埋葬証明書の発行をお願いする
- 今お墓がある市区町村で、改葬許可を申請する
- 閉眼供養のあと、墓石を撤去して墓所を返還する
- 改葬許可証を持って、改葬先に納骨する
改葬許可の申請書には、埋葬の事実を証する書面のほか、申請者が墓地の使用者でない場合は使用者の承諾書を添付します(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条)。多くの市区町村では、改葬先の受入証明書も求められます。必要な書類は自治体によって異なるため、事前に窓口で確認してください。手続きの詳細は「改葬手続きの流れと必要書類」、全体の順番は「墓じまいの手順7ステップ」で解説しています。
離檀届のよくある質問
離檀届は必ず出さないといけませんか?
法律上の提出義務はありません。ただ、口頭だけで済ませると「言った・言わない」の行き違いが起きやすいため、書面で残しておくと安心です。
寺に決まった用紙があると言われました
寺の用紙に記入して提出します。用紙に費用の承諾など分かりにくい項目がある場合は、その場で署名せず、持ち帰って家族と相談してから出しても失礼にはあたりません。
離檀料の金額は離檀届に書くべきですか?
書く必要はありません。離檀料やお布施は住職との話し合いで決めるものです。国民生活センターは、離檀料を檀家をやめるときに寺へのお礼として慣習的に支払うものとし、明確な基準はないとしています。離檀料を払うことを定めた法律はありませんが、お寺や墓地の規約に決まりがある場合もあるため、規約も確かめましょう。高額を請求されて困っている場合は「離檀料の相場はいくら?払わないとどうなる?」をご覧ください。
離檀届を出したのに返事がありません
まずは電話か訪問で、届いているかを確認します。それでも進まない場合は、内容証明郵便で発行をお願いし、あわせて今お墓がある市区町村の窓口に相談してください。
親の代わりに子どもが離檀届を出してもよいですか?
出せます。ただし、墓地の使用者(名義人)でない方が改葬を申請する場合は、使用者の承諾書が必要です。離檀届にも「父〇〇〇〇の代理として」のように、代理であることを書いておくと行き違いを防げます。
宗派によって書き方は変わりますか?
基本の書き方は宗派で大きく変わりません。寺ごとに独自の決まりや用紙がある場合は、そちらに従ってください。
まとめ
- 離檀届に法律で決まった書式はない。寺の用紙があればそれに従う
- 住職と話した後に渡し、埋葬証明書の発行と閉眼供養をお願いする
- 離檀料の金額は書かない。理由は「家族の事情により」程度でよい
- 話が進まないときは内容証明で送り、今お墓がある市区町村の窓口に相談する
離檀届を出した後は、墓石の撤去と改葬の手続きに進みます。撤去の費用は業者によって差が出るため、早めに見積もりを取っておくと、親族への説明や日程の調整も進めやすくなります。
本記事の内容は2026年10月時点の法令・公開情報に基づいています。改葬の手続きや必要書類は自治体によって異なるため、必ず各窓口でご確認ください。


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