墓じまいの手順と期間【2026年版】役所・お寺・石材店ごとの全ステップ解説
墓じまいには一般的に3〜12ヶ月程度かかります。自治体・寺院・石材店それぞれの状況により期間は大きく異なります。改葬許可申請(根拠法:墓地、埋葬等に関する法律第5条)から工事完了まで、役所・お寺・石材店ごとの全手順をステップ別に解説します。
目次
- 墓じまいの全体スケジュールと所要期間の目安
- 役所(自治体)での改葬許可申請の流れ
- お寺(菩提寺)との離檀手続きと注意点
- 石材店の選定・工事当日の時系列
- 新しい納骨先の手配と改葬完了
- よくある質問(FAQ)
1. 墓じまいの全体スケジュールと所要期間の目安 {#schedule}
1-1. 通常3〜12ヶ月かかる理由
墓じまいの流れには大きく4つの関係先が登場します。役所(改葬許可申請)・菩提寺(離檀手続き)・石材店(工事)・新しい納骨先です。これらを並行して進めることはできず、それぞれの手続きに順序と待ち時間が発生するため、全体では一般的に3〜12ヶ月程度を見込む必要があります。
根拠となる法律は「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)」第5条です。同条は「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すには、市町村長の許可を受けなければならない」と定めており、この「改葬許可」取得が完了するまで遺骨を動かすことは法律上できません。
1-2. 期間を延ばす主な原因
実際に手続きが長引くケースでよく見られる原因は以下のとおりです。
| 原因 | 影響する期間 |
|---|---|
| 改葬許可申請書類の不備・再提出 | +2〜4週間 |
| 菩提寺との交渉が長引く(離檀拒否・離檀料交渉) | +1〜3ヶ月 |
| 親族間での合意が取れない | +1〜6ヶ月以上 |
| 石材店の繁忙期(春秋の彼岸前後) | +1〜2ヶ月 |
| 新しい納骨先(永代供養墓・納骨堂)の空き待ち | +1〜3ヶ月 |
| 遺骨の身元確認・分骨の有無確認 | +1〜4週間 |
一方で、菩提寺が公営墓地・市営墓地であり親族の合意も早い場合は、3〜4ヶ月程度で完了するケースもあります。期間はあくまで目安であり、個々の状況によります。
1-3. 月次スケジュール早見表(一般的な想定例・保証ではありません)
以下は手続きが順調に進んだ場合の一般的な想定スケジュールです。実際の期間は各自治体・寺院の状況により大きく異なります。
| 月 | 主な作業内容 | 関係先 |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 親族への連絡・合意形成 / 新しい納骨先の検討開始 | 家族・親族 |
| 2ヶ月目 | 菩提寺への相談・離檀の申し出 / 新納骨先の仮予約 | 寺院・納骨先 |
| 3ヶ月目 | 改葬許可申請書類の準備・役所への提出 / 石材店への見積もり依頼 | 役所・石材店 |
| 4ヶ月目 | 改葬許可証の取得 / 石材店と工事日程の調整 | 役所・石材店 |
| 5ヶ月目 | 閉眼供養(魂抜き)/ 墓石撤去工事・遺骨取り出し | 寺院・石材店 |
| 6ヶ月目以降 | 新しい納骨先への改葬・納骨 / 改葬許可証の提出 | 新納骨先 |
親族間での調整が難航する場合や、寺院側との交渉に時間がかかる場合は、上記より3〜6ヶ月以上延びることも珍しくありません。
2. 役所(自治体)での改葬許可申請の流れ {#municipality}
2-1. 改葬許可申請に必要な書類
改葬許可申請は、現在のお墓がある自治体(市区町村役所)の窓口で行います。必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的に以下が求められます。
- 改葬許可申請書(自治体の窓口またはHPから入手)
- 埋葬(埋蔵)証明書(現在のお墓の管理者・住職に発行してもらう)
- 受入証明書(新しい納骨先から発行してもらう)
- 申請者の身分証明書・印鑑(自治体による)
書類に不備があると再提出となり、許可証の交付まで期間が延びます。事前に窓口・公式HPで必要書類を確認してから準備を始めることをおすすめします。
2-2. 自治体別の申請窓口と処理日数(東京・神奈川・埼玉・千葉)
東京都23区の特徴:窓口が区ごとに異なる
東京都内23区では、申請窓口・書式・処理日数が各区で個別に定められています。千代田区・中央区・港区などはホームページからの申請書ダウンロードが可能ですが、書類不備時の対応は区の担当課への直接連絡が必要です。申請から許可証交付まで一般的に1〜4週間程度かかりますが、繁忙期や書類不備の場合はさらに延びることがあります。
| 都県 | 申請窓口 | 申請書類の参照先 | 処理日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 東京都23区 | 各区の環境課・清掃課等(区により異なる) | 各区公式ウェブサイト | 1〜4週間程度 |
| 東京都多摩地区 | 各市の環境課・市民課等 | 各市公式ウェブサイト | 1〜3週間程度 |
| 神奈川県 | 各市区町村の環境課等 | 各市区町村公式ウェブサイト | 1〜4週間程度 |
| 埼玉県 | 各市町村の環境課・市民課等 | 各市町村公式ウェブサイト | 1〜3週間程度 |
| 千葉県 | 各市町村の環境課等 | 各市町村公式ウェブサイト | 1〜3週間程度 |
処理日数は各自治体の繁忙状況・書類の不備の有無により変わります。事前に申請予定の窓口へ直接お問い合わせください。
主要自治体の公式ページ(改葬許可申請)
- 東京都千代田区:千代田区公式サイト
- 横浜市:横浜市公式サイト
- さいたま市:さいたま市公式サイト
- 千葉市:千葉市公式サイト
※各自治体の公式HPで「改葬許可申請」で検索してください。窓口・担当部署は変更になる場合があります。
2-3. 申請から許可証取得までの実際のステップ
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① 新しい納骨先から「受入証明書」を取得
↓
② 現在のお墓の管理者(住職・霊園管理者)から「埋葬証明書」を取得
↓
③ 現在のお墓がある自治体の窓口で「改葬許可申請書」に記入・提出
↓
④ 自治体が書類を審査(一般的に1〜4週間程度)
↓
⑤ 「改葬許可証」の交付を受ける
↓
⑥ 改葬許可証を持って石材店・工事・遺骨の取り出しへ進む
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改葬許可証が交付される前に遺骨を移動させることは法律違反となります。順序を守って手続きを進めてください。
なお、お墓に複数の遺骨が埋葬されている場合、遺骨の数だけ改葬許可証が必要になる場合があります。詳細は申請先の自治体窓口にご確認ください。
詳しい改葬手続きについては改葬手続きの完全ガイドもあわせてご確認ください。
3. お寺(菩提寺)との離檀手続きと注意点 {#temple}
3-1. 離檀の申し出から閉眼供養まで
菩提寺(檀家として所属しているお寺)がある場合、墓じまいには「離檀(りだん)」の手続きが必要です。離檀とは、檀家関係を解消してお寺との縁を切ることを指します。
離檀の流れは以下のとおりです。
- 住職への相談・意向伝達:突然の書面通知ではなく、まず直接面談して意向を丁寧に伝えることが一般的なマナーとされています
- 埋葬証明書の発行依頼:改葬許可申請に必要な書類を住職に依頼します
- 離檀料の協議:必要に応じて離檀料の金額を確認・協議します
- 閉眼供養(魂抜き)の実施:石材店が工事を行う前に、住職に「閉眼供養(お性根抜き)」を依頼します
- 檀家台帳からの抹消確認:寺院側での手続き完了を確認します
3-2. 離檀料の目安と宗派別傾向
離檀料とは、長年の檀家関係を解消する際に寺院へ支払うお布施の一種です。法律上の支払い義務はありませんが、慣習として求められるケースがあります。
| 宗派 | 離檀料の一般的な目安 | 傾向 |
|---|---|---|
| 浄土真宗 | 求められないケースが多い | 離檀自体に宗教的ハードルが低いとされる |
| 浄土宗・天台宗 | 3〜20万円程度 | 寺院・地域により差が大きい |
| 曹洞宗・臨済宗 | 5〜30万円程度 | 古刹や由緒ある寺院では高額になることも |
| 真言宗 | 3〜20万円程度 | 寺院の規模・地域性により異なる |
| 日蓮宗 | 3〜20万円程度 | 寺院によって大きく異なる |
上記はあくまで一般的な目安であり、実際の金額は寺院・地域・これまでの関係性により大きく異なります。「何十万円もの離檀料を突然請求された」というケースも報告されていますが、法外な金額の請求には応じる義務はないという見解が一般的です。不明な場合は弁護士や行政書士に相談することも選択肢の一つです。
3-3. 寺院が離檀を拒否した場合の対処法
寺院が離檀を拒否したり、高額な離檀料を要求したりするケースがあります。以下のような段階的な対応が考えられます。
- 住職と複数回話し合いを持つ:最初の拒否は感情的な反応であることも多く、丁寧に意向を説明し続けることで解決するケースがあります
- 宗派の本山・宗務庁に相談する:各宗派には檀信徒からの相談窓口が設けられています
- 弁護士・行政書士に相談する:法外な離檀料の要求や不当な拒否は法的に問題になる場合があります
- 「埋葬証明書」の代替書類を確認する:住職が埋葬証明書の発行を拒否する場合、自治体によっては墓地の管理台帳等の代替書類で対応できるケースがあります(申請先自治体にご確認ください)
親族が墓じまいに反対している場合の対処法については墓じまい・親族の反対への対処法も参考にしてください。
4. 石材店の選定・工事当日の時系列 {#stonemason}
4-1. 石材店選びから契約・工事までの流れ
石材店への依頼は、改葬許可証の取得と並行して進めることができます(ただし実際の工事は改葬許可証取得後)。
石材店選びのチェックリスト
- [ ] 墓地の管理者(霊園・寺院)が指定する石材店があるか確認した
- [ ] 複数社(最低2〜3社)から見積もりを取った
- [ ] 見積書に「残土処理費・廃棄費用」が明記されているか確認した
- [ ] 工事後の整地・原状回復の範囲が明確になっているか確認した
- [ ] 遺骨の取り出し・洗骨・骨壷への移し替え費用が含まれているか確認した
- [ ] 会社の実績・口コミを確認した
- [ ] 担当者の説明が丁寧で不明点に答えてくれるか確認した
石材店の選び方の詳細は墓じまい業者の選び方をご覧ください。
4-2. 工事当日の時系列と実工程
墓石撤去工事は一般的に半日〜1日程度で完了しますが、墓地の規模・石材の量・立地条件によって異なります。
| 時間帯 | 作業内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 工事前日まで | 閉眼供養(魂抜き)を住職に依頼・実施 | 30分〜1時間程度 |
| 工事当日 午前 | 養生シート・足場設置、周囲の墓への配慮 | 30分〜1時間程度 |
| 工事当日 午前〜午後 | コアカット(基礎石の切断)・クレーン・手作業での石材解体・撤去 | 2〜4時間程度 |
| 工事当日 午後 | 遺骨の取り出し・確認・新しい骨壷への移し替え | 30分〜1時間程度 |
| 工事当日 終盤 | 残土処理・整地・原状回復 | 1〜2時間程度 |
| 工事完了後 | 石材店から完了報告・書類受領 | — |
コアカット・残土処理とは?
「コアカット」とは、コンクリート製の基礎部分をダイヤモンドカッターで切断する作業です。基礎が深い・広い場合は作業時間が長くなり、費用も増加します。「残土処理」は掘り出した土・コンクリート片を適正に廃棄する作業で、環境法規制に基づき適切な産廃業者を通じた処理が必要です。見積もり時にこの費用が含まれているか必ず確認してください。
4-3. 遠方のお墓の場合:現地訪問は何回必要か
遠方にあるお墓を墓じまいする場合、少なくとも以下の場面で現地訪問が必要になることが一般的です。
| 訪問タイミング | 目的 | 立ち会い必要度 |
|---|---|---|
| 事前調査・住職への相談 | お墓の状態確認・寺院への挨拶 | 必須(代理人対応も可要相談) |
| 閉眼供養(魂抜き) | 住職による読経・儀式 | 基本的に本人または代表者が参加 |
| 工事当日 | 石材撤去・遺骨取り出し | 原則立ち会い推奨(後述) |
| 新しい納骨先への納骨 | 改葬許可証の提出・納骨儀式 | 必須 |
最低でも2〜3回の現地訪問を想定しておくことをおすすめします。交通費・宿泊費も墓じまいの総費用に含めて計画してください。
墓じまい全体の費用については墓じまいの費用と内訳も参考にしてください。
5. 新しい納骨先の手配と改葬完了 {#new-grave}
5-1. 主な新しい納骨先の種類と特徴
| 種類 | 費用の目安 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 永代供養墓(合祀型) | 3〜30万円程度 | 他の方の遺骨と合祀。年間管理不要 | 後継者がいない・費用を抑えたい |
| 永代供養墓(個別型) | 30〜100万円程度 | 一定期間個別に安置後に合祀 | 個別安置期間を確保したい |
| 納骨堂 | 30〜150万円程度 | 屋内施設。アクセスが良い | 都市部在住・お参りしやすさ重視 |
| 樹木葬 | 10〜100万円程度 | 自然の中に埋葬。形式はさまざま | 自然志向・後継者不要 |
| 自家墓地・霊園への改葬 | 霊園により異なる | 新たに墓石を建立する場合も | 新たなお墓を持ちたい |
費用はあくまで一般的な目安です。実際の費用は施設・立地・プランにより大きく異なります。永代供養については墓じまいと永代供養もご覧ください。
5-2. 改葬許可証の提出と改葬完了
新しい納骨先への納骨時には、改葬許可証を提出することが法律で定められています(墓地、埋葬等に関する法律第14条)。改葬許可証を提出して受理されることで、法律上の改葬手続きが完了します。
改葬完了後のチェックリスト
- [ ] 新しい納骨先に改葬許可証を提出・受理された
- [ ] 元の霊園・寺院に返還が必要な書類・証明書があれば対応した
- [ ] 元のお墓の使用権を返還した(霊園の場合は返還届・精算)
- [ ] 家族・親族に改葬完了を報告した
- [ ] 必要に応じて開眼供養(魂入れ)を新しい納骨先で実施した
6. よくある質問(FAQ) {#faq}
Q1. 改葬許可証はどこで取得できますか?自治体によって手続きは違いますか?
改葬許可証は、現在のお墓がある市区町村の役所で取得します。申請先は新しい納骨先の自治体ではない点に注意してください。
手続きは自治体によって異なり、必要書類・書式・処理日数・担当窓口の名称がそれぞれ違います。東京都23区では区ごとに手続きが異なるため、必ず事前にお墓所在地の区の公式HPまたは窓口に確認してください。処理日数は一般的に1〜4週間程度ですが、書類不備があると再申請が必要になり、大幅に時間がかかることがあります。
Q2. 墓じまいの手続きは何ヶ月前から始めるべきですか?
少なくとも6〜12ヶ月前からの開始をおすすめします。親族への連絡・合意形成から始まり、新しい納骨先の選定・仮予約、寺院との交渉、改葬許可申請、石材店への見積もりと工事日程調整と、関係先が多く時間がかかるためです。
特に年末年始・春秋のお彼岸・お盆前後は石材店が繁忙期となり、工事の予約が取りにくくなります。余裕を持って動き始めることが、スムーズな墓じまいにつながります。
Q3. お寺(菩提寺)が離檀を拒否した場合はどうすればいいですか?
寺院には法律上、離檀を拒否する権限はありません。しかし、感情的な対立になるとその後の手続き(埋葬証明書の発行など)が難しくなる場合があります。
対応としては、①複数回丁寧に話し合いを続ける、②宗派の本山・宗務庁の相談窓口に連絡する、③弁護士・行政書士に相談する、の順に検討することが一般的です。埋葬証明書の発行を拒否された場合は、申請先の自治体窓口に代替書類での対応が可能かどうか確認してみてください。対応は自治体により異なります。
Q4. 遠方にある墓を墓じまいする場合、現地に何回行く必要がありますか?
一般的に最低2〜3回の現地訪問が必要です。①寺院への事前相談・現地確認、②閉眼供養(工事前日または当日)、③工事当日の立ち会い、が主な訪問タイミングです。石材店と寺院のスケジュールを合わせて閉眼供養と工事を同日・翌日に行うことで、2回にまとめられる場合もあります。
遠方から代理人(親族)が立ち会う場合は、石材店・寺院に事前に確認・了承を得た上で進めてください。
Q5. 墓じまいの工事当日に立ち会いは必須ですか?立ち会えない場合の対処法は?
法律上、立ち会いは義務ではありませんが、原則として立ち会いを強くおすすめします。理由は、遺骨の取り出しや骨壷の確認、予期せぬ問題(遺骨の発見数・骨壷の破損等)が生じた際に、その場で確認・判断する必要があるためです。
どうしても立ち会えない場合は、①信頼できる親族に代理で立ち会いを依頼する、②石材店に工事の進行を写真・動画で記録してもらう、③工事後に遺骨・骨壷の状態を書面で報告してもらう、という対応を石材店と事前に取り決めておくとよいでしょう。
まとめ:墓じまいをスムーズに進めるための3つのポイント
- 早めに動き始める:一般的に3〜12ヶ月程度かかるため、余裕を持って6〜12ヶ月前からスタートする
- 関係先への連絡順序を守る:親族→寺院→自治体(改葬許可申請)→石材店→新しい納骨先の順に進める
- 複数社から見積もりを取る:石材店・新しい納骨先ともに費用は大きく異なるため、比較検討する
墓じまいにかかる全体の費用については墓じまいの費用2026年版、手順の詳細については墓じまい7つのステップも合わせてご覧ください。
本記事の情報は一般的な目安であり、実際の手続き・費用・期間は各自治体・寺院・石材店の状況により大きく異なります。重要な手続きについては必ず関係機関に直接ご確認ください。


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