墓じまいを業者に「代行」してもらうと、いくらかかり、何を頼めるのか。墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)、行政書士法、弁護士法と、国民生活センターなどの公的な資料をもとにまとめました。「墓じまい代行」は法律で中身が決められたサービスの名前ではなく、業者によって含まれるものが違います。この記事では、頼むことを3つに分けて、費用の目安と、見積もりで確かめることを解説します。
この記事の結論
- 墓じまいで頼むことは「墓石の撤去工事」「改葬許可の申請」「お寺とのやり取り」の3つに分けて、見積もりに何が含まれるかを確かめる
- 墓石の撤去工事は、石材店などの業者に頼む。国民生活センターは、公営墓地以外では提携している石材店を指定されることが一般的だとしているので、先にお墓の管理者に確かめる
- 改葬許可の申請は、お墓の使用者が自分でできる。行政書士や行政書士法人でない人は、他人の依頼を受けて、どのような名目でも報酬を得て、役所に出す書類を作ることを業として行えない(行政書士法 第19条。他の法律に定めがある場合などを除く)。業者に頼むときは、申請書を誰が作るのかを確かめる
- お寺ともめていて、代わりに話し合ってもらいたいときは、弁護士に相談する(弁護士法 第72条)
- 「代行」の手数料だけを調べた公的な統計は見当たらない。墓じまいにかかった費用は、民間の調査(いいお墓・2026年。何を含むかの定義はない)で「31万円~70万円」が31.3%で最も多い
墓じまいでやることと、頼む先
墓地埋葬法では、お墓に納めた遺骨を別のお墓や納骨堂に移すことを「改葬」といい、市町村長(特別区の区長を含む)の許可が要ります。許可を出すのは、遺骨が今ある場所の市町村長です。この記事では、この改葬の手続きと、墓石を撤去してお墓を管理者に返すことを合わせて「墓じまい」と呼びます。(出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第2条・第5条)
| やること | 頼む先・する人 | 法律の決まり・注意 |
|---|---|---|
| 墓石を撤去し、お墓を元の状態に戻す | 石材店などの業者 | 墓地によっては、工事を頼める石材店が決まっている |
| 今のお墓に遺骨が納められていることの証明をもらう | 今のお墓の管理者(お寺・霊園) | 改葬許可の申請書に付ける書類 |
| 遺骨の移し先を決める | 移し先の墓地・納骨堂など | 申請書に「改葬の場所」を書く |
| 改葬許可を申請する | お墓の使用者(使用者以外が申請するときは、使用者の承諾書が要る) | 行政書士でない業者は、報酬を得て申請書を作れない(次の章) |
| お寺に墓じまい(離檀)を伝える | お墓の使用者 | もめていて代わりに話し合ってもらうなら、弁護士などに相談(その次の章) |
(出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第2条、国民生活センター 消費者トラブル解決ナビ「【墓地】墓じまいをしたいが、管理会社から、指定の石材店以外での工事は認めないと言われ納得できない。」)
改葬許可の申請は、遺骨が今ある市区町村の窓口に、使用者が自分で出せます。郵送でも受け付けている自治体もあり、たとえば東京都の港区・台東区・八王子市は、郵送でも申請できると案内しています。業者に頼むことと自分ですることを分けておくと、見積もりの中身を比べやすくなります。都立霊園がある区市の窓口は「東京の墓じまい業者の選び方」の表で紹介しています。(出典:港区「改葬許可証の交付申請」、台東区「改葬許可申請について」、八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」)
役所の書類を業者に頼むとき(行政書士法)
行政書士法は、行政書士の仕事を、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署(役所)に提出する書類などを作ることと定めています(第1条の3)。そして、行政書士や行政書士法人でない人が、他人の依頼を受けて、どのような名目でも報酬を得て、この仕事を業として行うことを禁じています(第19条。他の法律に定めがある場合などを除く)。第19条の「どのような名目でも」の部分は、行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)で加わったもので、総務省は同法が令和8年1月1日に施行されたと案内しています。(出典:e-Gov法令検索「行政書士法」、総務省「行政書士制度」)
改葬許可の申請書は、役所に出す書類です。見積もりに「手続き代行」「書類代行」とあるときは、申請書を誰が作るのか(自分で書いて提出だけを頼むのか、行政書士が作るのか)を、見積もりのときに確かめてください。行政書士は、受ける報酬の額を事務所の見やすい場所に掲示しなければならないと定められています(第10条の2)。
お寺とのやり取りと弁護士法
国民生活センターには、菩提寺に墓じまいを頼んだところ高額な離檀料を求められ、規約などの定めもなく根拠が分からない、という相談が寄せられています。同センターの「消費者トラブル解決ナビ」のFAQは、離檀料はお寺にお礼として払うお布施の意味を持つもので、今のところ料金に明確な基準はなく、基本的には当事者どうしで話し合うことになると回答しています。困ったときは、消費者ホットライン(電話188)に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。(出典:国民生活センター「墓・葬儀サービス」、同「【墓地】改葬したいと伝えたら、寺から高額な離檀料を請求された。納得できない。」、消費者庁「消費者ホットライン」)
弁護士法は、弁護士や弁護士法人でない人が、報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を扱ったり、その周旋をしたりすることを業とすることを禁じています(第72条。他の法律に定めがある場合などを除く)。離檀料の額などでお寺ともめていて、代わりに話し合ってもらいたいときは、弁護士に相談してください。民事の紛争で、紛争の目的の価額が140万円以下のものは、法務大臣の認定を受けた司法書士も、裁判外の和解について代理できます(司法書士法 第3条、裁判所法 第33条)。業者のいう「離檀の代行」は、何をしてもらうのか(離檀の意思を伝えるところまでか)を、頼む前に確かめてください。(出典:e-Gov法令検索「弁護士法」、「司法書士法」、「裁判所法」)
お寺に墓じまいを伝える手紙の書き方は「離檀の挨拶の例文」「住職への手紙の例文」で紹介しています。
墓じまいの費用の目安
墓じまいにかかった費用(民間の調査)
「代行」の手数料だけを調べた公的な統計や調査は、確認した範囲では見当たりませんでした(2026年10月確認)。民間の調査では、株式会社鎌倉新書の「いいお墓」が、改葬・墓じまいを実際にした(している)人に、費用を価格帯で尋ねています。
| 墓じまいの実施費用 | 回答の割合(2026年の調査) |
|---|---|
| 30万円以下 | 16.8% |
| 31万円~70万円 | 31.3%(最多) |
| 71万円~110万円 | 18.8% |
| 111万円~150万円 | 11.3% |
| 151万円以上 | 14.0% |
| わからない | 7.8% |
調査は2026年1月16日から23日にインターネットで行われ、2024年10月から2025年9月に「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを検討または実施した733人が回答しました。費用の質問に答えたのは、そのうち実際に改葬・墓じまいをした(している)399人です。表の割合は、この399人の中の割合です(一番上の区分は、本文では「151万円以上」、グラフでは「150万円以上」と書かれています)。金額に何を含むかの定義は書かれていません。同じページは、費用は解体する墓地の広さや、移し先の永代供養墓・納骨堂のグレードによって変わるとしています。(出典:「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」(株式会社鎌倉新書「いいお墓」)(https://guide.e-ohaka.com/research/survey_hakajimai_2026/)を基に当サイトで作成)
役所や霊園に払う手数料
改葬許可の手数料の有無は、お墓がある市区町村のページで確かめてください。たとえば都立霊園がある府中市・東村山市・八王子市は無料です。都立霊園では、改葬の申請の前に霊園の窓口で出してもらう「埋蔵・収蔵証明書」が400円です。お墓がある市区町村と、今のお墓の管理者に確かめてください。全体の費用の内訳は「墓じまい費用の相場と内訳」で解説しています。(出典:府中市「改葬許可申請」、東村山市「改葬許可(お墓のお引越し)申請について」、八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」、東京都公園協会「都立霊園 埋蔵施設・みたま堂 使用の手引」)
撤去工事の見積もりを比べる
撤去工事の見積書で確かめる項目(撤去の範囲・単位・「一式」の中身・廃材の処分・追加費用の条件など)は、「墓じまいの見積もり」で図にまとめています。
撤去工事の見積もりを複数の石材店から取る申込先として、当サイトが提携している墓石ナビがあります。墓石ナビの公式サイトには、すべて無料で利用でき契約の義務はないこと、掲載している石材店はすべて同社の審査を通過していることが書かれています(2026年10月確認)。運営は株式会社サフタ(大阪市阿倍野区)です。お寺の墓地や民営霊園では、指定の石材店があるかを先に管理者に確かめてください。(出典:墓石ナビ公式サイト、墓石ナビ「運営会社」)
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墓石の撤去工事の費用を、比べてから決めたい方へ
墓石ナビは、同社の審査を通った石材店から無料で一括見積もりを取れるサービスです。同社のサイトでは、墓じまい(墓石の撤去)を頼むときも、複数の石材店の見積もりを比べるよう案内しています。同社のサイトには、民営霊園のお墓は受け付けていないとも書かれているため、墓地の種類(公営・民営・お寺の墓地)と、霊園やお寺に指定の石材店があるかを、先に確かめてください。
「代行」の見積もりで確かめること
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 3つ(撤去工事・申請書・お寺への連絡)のうち、どれが含まれているか | 「代行」の中身は業者によって違う。含まれないものは自分ですることになる |
| 撤去の範囲(墓石・カロート・外柵・整地など)が、管理者の求める範囲と合っているか | 範囲が違う見積もりどうしは、金額だけでは比べられない |
| 「一式」に含まれるものと、含まれないもの | 業界団体のガイドラインは、登録店が「一式」で示すときは中身を書き、含まれないものは別途費用がかかることを書くよう定めている |
| 追加費用がかかる条件 | 同じガイドラインは、見積り以外の追加費用が発生する場合について説明するよう定めている |
| 税込みの総額 | 同じガイドラインは、契約書などに内税か外税かと消費税額を書くよう定めている |
| 実際に工事をする会社 | 同じガイドラインは、登録店が外部に業務を委託する場合は、契約した登録店が発注業務を管理監督するよう定めている |
| 改葬許可の申請書を誰が作るか | 行政書士でない業者は、どのような名目でも報酬を得て申請書を作れない(行政書士法 第19条) |
| 行政書士が作る場合、その報酬を誰に払うのか | 行政書士に直接払うのか、業者の「手続き手数料」「サポート料」などとして払うのかを確かめる(同法 第19条は名目を問わない) |
| 「離檀の代行」で何をしてもらうのか | もめていて代わりに話し合ってもらうなら、弁護士などに相談する(弁護士法 第72条) |
このガイドラインは、一般社団法人日本石材産業協会が定めた「墓石工事契約等ガイドライン」(2020年6月19日施行、2023年11月1日改訂)です。墓石の建立や工事を主に想定した指針で、法律ではなく、従うことを誓約して登録した墓石店(登録店)が守る事項ですが、登録していない業者の見積もりも、同じ項目で確かめると比べやすくなります。聞いたことへの答えは書面でもらっておくと、ほかの業者の見積もりと並べて比べられます。見積書の読み方は「墓石の見積もり比較」でも解説しています。(出典:一般社団法人日本石材産業協会「墓石工事契約等ガイドライン」4.7・4.9・4.10・4.13)
よくある質問
遠方に住んでいて窓口に行けません。業者に全部頼むしかありませんか?
改葬許可は、郵送でも申請できる自治体があります(東京都の港区・台東区・八王子市など)。お墓がある市区町村のページで、郵送の受付と、使用者以外が申請するときの書類(使用者の承諾書など)を確かめてください。撤去工事は業者に頼み、工事への立ち会いが要るかは、業者とお墓の管理者に確かめましょう。(出典:墓地埋葬法施行規則 第2条、港区「改葬許可証の交付申請」、台東区「改葬許可申請について」、八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」)
家族や親族が墓じまいに反対しています
墓地埋葬法施行規則 第2条が改葬許可の申請書に付けるよう定めているのは、今のお墓の管理者の証明と、申請者がお墓の使用者でないときの使用者の承諾書(またはこれに対抗できる裁判の謄本など)で、親族の同意書は挙げられていません。ただし、市町村長が特に必要と認める書類を求められることがあり、墓地の規則もあるため、先に確かめてください。反対しているのが使用者本人なら、その承諾がないと、ほかの人は申請できません。家族や親族との話し合い方は「墓じまいで親族が反対する場合の対応」で解説しています。
墓じまいに使える補助金はありますか?
制度の有無や条件は自治体によって違います。お墓がある市区町村に確かめてください。自治体の例は「墓じまいの補助金・助成金がある自治体一覧」でまとめています。
まとめ
- 「墓じまい代行」の中身は業者によって違う。撤去工事・改葬許可の申請・お寺とのやり取りの3つに分けて、何が含まれるかを確かめる
- 撤去工事は石材店などに頼む。指定の石材店があるか、どこまで撤去するかを、先にお墓の管理者に確かめる
- 改葬許可の申請は使用者が自分でできる。申請書を業者に頼むときは、誰が作るのかを確かめる(行政書士でない業者は、報酬を得て作れない)
- お寺ともめていて、代わりに話し合ってもらいたいときは弁護士に相談する。困ったときは消費者ホットライン(188)
- 指定の石材店がないときは、見積もりを同じ条件で複数取り、「一式」の中身、追加費用の条件、税込みの総額、実際に工事をする会社を書面で確かめる
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墓石の撤去工事の費用を、比べてから決めたい方へ
墓石ナビは、同社の審査を通った石材店から無料で一括見積もりを取れるサービスです。同社のサイトでは、墓じまい(墓石の撤去)を頼むときも、複数の石材店の見積もりを比べるよう案内しています。同社のサイトには、民営霊園のお墓は受け付けていないとも書かれているため、墓地の種類(公営・民営・お寺の墓地)と、霊園やお寺に指定の石材店があるかを、先に確かめてください。
この記事で使った資料(2026年10月に確認)
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」、「行政書士法」、「弁護士法」、「司法書士法」、「裁判所法」
- 総務省「行政書士制度」
- 国民生活センター「墓・葬儀サービス」、消費者トラブル解決ナビ「【墓地】墓じまいをしたいが、管理会社から、指定の石材店以外での工事は認めないと言われ納得できない。」、「【墓地】改葬したいと伝えたら、寺から高額な離檀料を請求された。納得できない。」
- 消費者庁「消費者ホットライン」
- 一般社団法人日本石材産業協会「墓石工事契約等ガイドライン」
- 東京都公園協会「都立霊園 埋蔵施設・みたま堂 使用の手引」
- 港区「改葬許可証の交付申請」、台東区「改葬許可申請について」、府中市「改葬許可申請」、東村山市「改葬許可(お墓のお引越し)申請について」、八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」
- 「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」(株式会社鎌倉新書「いいお墓」)(https://guide.e-ohaka.com/research/survey_hakajimai_2026/)を基に当サイトで作成
- 墓石ナビ公式サイト、「運営会社」
この記事を書いた人 大手葬儀会社Web事業部に3年間在籍。年間2,000件以上の葬儀集客・月数千万円超の広告運用・月間1,000万PV超のコンテンツ制作を担当した現場経験者が執筆しています。


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